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立派な人間なりたいけれど、なかなか難しい…まだまだ修行中 短髪・サングラス時の私の顔は、新田たつお氏のマンガ「アッカーマン」に似ているらしい。

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2013年6月 9日 (日)

「西暦775年のミステリー 宇宙 謎の大事件」を見た

宇宙線はいつも降り注いでいる。だが感じられない。霧箱と呼ばれる、アルコールの蒸気を満たした箱の中で、宇宙線が見える。細く短いのは、地中の岩石などから出された放射性物質。長いのが宇宙線…宇宙から飛んで来た、高エネルギーの粒子。宇宙線は大気を通り抜け、地球に降り注いでいる。

木の年輪に含まれる炭素14~地球にはほとんど存在しない放射性物質。宇宙線が窒素や酸素衝突した結果、作られる。二酸化炭素の形で樹木に取り込まれる。年輪に含まれる炭素14の量を調べる事で、1年ごとの地球に降り注いだ宇宙線の量がわかる。

樹齢1200年の屋久杉を計測~戦後、間もなく伐採されたのを大学が研究用に購入。西暦600年代から500年分の年輪を調べた。年輪を1年分ずつ正確に削る。成長の遅い屋久杉は1年の年輪が0.5㎜の厚さ。科学的処理を施し、炭素14を取り出す。強力な加速器質量分析計を使って、通常の炭素と炭素14に振り分ける。4年に渡って続けた。

炭素14の量は1年単位ではあまりかわらない。774年~775年は1年間で1.2%増加…平均的増加量の20倍に当たる。急激な増加は世界的に例がないので、計測ミスがないか確認…間違いない。

炭素14が20倍になったというこは、地球に降り注ぐ宇宙線が急激に増えた。宇宙で何が起こったのか?太陽の表面の爆発が大きかった?それ以上の量なので、そうともいえない。原因は不明だが、科学雑誌に掲載…世界中で話題になった。

1.始まった事件の検証

炭素14を急増させる宇宙線が降り注いだら、現代社会に大きな影響がある。そんな大事件が1200年前に起きていたのか?まずデーターの検証~スイスでは、その年代のドイツ産の木材を調べた。ドイツの木でも炭素14は、774年~775年に急増していた。日本の局地的現象ではなかった。

8世紀後半、大量の宇宙線が降り注いだ痕跡は他でもあった。南極大陸~日本の探検隊が掘り出したアイスコーンの中にも含まれていた。西暦700年の後半…8世紀後半の氷に含まれるベリリウム10の濃度が高かった。

ベリリウム10は炭素14と同じように、宇宙線が窒素や酸素と衝突して作られる放射性物質。大気中の微粒子くっつき、雪や氷に降り積もる。氷に閉じ込められたベリリウム10の濃度を調べる事で、宇宙線の変動量がわかる。

過去1200年の変動量を10年刻みで調べていた。やはり775年のところで、ベリリウム10の濃度が大幅に上がっている。北半球、南半球でも計測されたということは、全地球規模で起こっていた証拠。775年に宇宙線が大量に降り注いだ…では原因は?

2.歴史の真相は

当時の歴史に何か記録が残っていないか調べる。イギリスの歴史書に774年に残っていた。日没後、天に赤い十字架が現れた。大地に見事な蛇が現れた、ともある。アングロサクソン年代記~古代から中世にかけてイギリスの歴史を知る貴重な資料。774年の記述~当時は7つの王国があった。戦いがあった時、天に赤い十字架が現れた。さらに大地に見事な蛇が現れた。

天の赤い十字架は、超新星爆発?太陽の数倍以上、大きい星が寿命が尽きて大爆発し。大量の宇宙線が放出される。空が雲で覆われいたので、光が十字架のように見えたのでは?当時、望遠鏡がなかったので、肉眼で見えたということは、とても明るい現象だったのでは?超新星爆発なら、可能性があるのでは?

確かに超新星爆発なら地上から見えて、宇宙線の説明にもなる。しかし疑問もある。普通、爆発なら痕跡が残るハズ。カニ星雲の爆発は、現在でも望遠鏡で痕跡が観測できる。しかし774年に超新星爆発があった痕跡は見つかっていない。超新星残骸が観測されていない。

超新星爆発~明るい現象で「天の十字架」にふさわしい。今も痕跡が残るハズだが、見当たらない。

3.浮上した次なる容疑者

ドイツの修道書を分析~776年に赤く燃え盛る2枚の楯が、教会の上を動いていくのを見た、と書いてある。太陽活動に伴うオーロラではないか?太陽の表面の爆発は地球に届いて、局地周辺でオーロラが見られる。775年前後は太陽活動が活発だったのではないか?オーロラは赤く見えることもあるし、短時間で動き、姿を変える。

太陽表面では、太陽フレアという爆発が起こっている。そのフレアによって大量の宇宙線が放出される。775年に太陽で大きな爆発があって、宇宙線が降り注いだのではないか?計算すると、これまでの爆発の10倍の爆発が必要になる。その結果、大きなオーロラと炭素14が増える。1859年9月1日、アマチュアの天文家、リチャード・キャリントンが太陽の表面を観測していた。見た事もない大きな黒点あった。その瞬間、黒点から白いせん光を発した。

太陽から宇宙線が地球を襲う~当時使われ始めた通信装置に異常な電流が流れ、燃えてしまった。大混乱が起こった。しかし1859年の太陽フレアでは、目立った炭素14の増加はなかった、それ以上の太陽フレア?

太陽フレア~オーロラが「赤く燃える楯」の正体では?しかし観測史上最大の太陽フレアの10倍もの規模が必要。

4.地球への影響

宇宙線の私たちへの影響~オゾン層を破壊して私たちに影響を与える。酸素原子3つからなるオゾンは、有害な紫外線(とくにUVB)をカットする。大量の紫外線はオゾン層を破壊し、地球に届く。日焼け、目の白内障、皮膚がんにもつながる。

では775年の事件は、どれほどの影響があったのか?オゾン層が20%ほど減少し、生命に影響があった可能性が考えられる日焼けや皮膚がんになった人が増加しただろう。植物…特に農作物の生育に影響があったのでは?小麦・大麦の収穫量が10~15%減少したかもしれない。食料不足を引き起こしたのではないか。

太陽から放射される宇宙線は電気を帯びている。大量に降り注ぐとネットワークに影響を与える。地上の送電線に異常な電流が流れて、電気回路が壊れてしまう。送電線のトラブルは、大規模な停電を起こし、通信や金融がダウンする。電力を必要とする産業、あらゆる社会活動を麻痺させる。

現代にキャリントン・フレアと同規模のフレアが起こると、アメリカだけで1兆ドル以上の被害が試算される。その10倍の爆発…想像もできない。

5.意外な共犯者

彗星が太陽に衝突すると爆発的な衝撃波を生みだす。この衝撃波で大量に宇宙線が地球にやってくる。直径50㎏前後の彗星が衝突した場合、このシナリオが成立するらしい。1997年、太陽に接近したヘールボップ彗星に匹敵する。巨大な彗星が太陽に衝突する可能性は少ないが、小さな彗星は数個ほど太陽に衝突している。無視できる確率ではない。想定外のことでも起きてしまうことがある。

彗星~太陽表面で大規模な爆発起こした共犯?まれにしか巨大彗星は衝突しない。可能性は否定できない。

6.巨大な容疑者あらわる

ガンマ線バースト~宇宙でもっとも激しい爆発。原因を太陽フレアにすると説明出来ないことがある。炭素14とベリリウム10の生成量の違い。太陽表面で起こる爆発は、比較的エネルギーの小さい爆発。エネルギーが低いと、炭素14よりベリリウム10が多く作られる。

一方、銀河からはエネルギーの高い宇宙線がやってくる。エネルギーが高いと、ベリリウム10より炭素14が多く作られる。実際、計測すると、ベリリウム10より炭素14の方が多いので、太陽フレアが原因とは考えにくい。

炭素14は急激に大量に増加している。同時期のベリリウム10の増え方は、そんなにハッキリしていない。太陽フレアが原因とは言い切れない。

宇宙線の中でも、特にエネルギーの高いガンマ線。中性子星が互いに周って、強い重力によって激しく衝突…ガンマ線バースト。高エネルギーのガンマ線が大量に放出される。地球から3000光年~12000光年の間で、ガンマ線バーストがあれば、これまでのデーターを説明できる。ガンマ線バーストなら炭素14が多く、ベリリウム10の少ない理由が説明できる。

しかし疑問もある。根拠となるベリリウム10の量の計測が充分ではなく、これからの課題である。ガンマ線バーストは、広い宇宙でまれにしか起こらないので、私たちの銀河系では一度も生じたことがない。一つの銀河で1000年に一度、起きるか起きないかの現象。たまたま1200年前に起こったとは考えにくい。

ガンマ線バースト~炭素14ベリリウム10の比率によく合う。だが宇宙でも極めてまれな現象。

西暦775年に大量に降り注いだ宇宙線の犯人は何者か?超新星爆発?巨大な太陽フレア?彗星が太陽に衝突?ガンマ線バースト?…未だに真相は不明。将来、同じような事件が起こるかもしれない。その時、私たちの社会は、また被害を受けるかもしれない。

7.大空のサインを読み解け

2013年に入り、事態は再び動き出す。太陽フレア説を支持する新たな記録が発見された。昔、中国で光沢のある白い帯が目撃された…まさにオーロラ。大地に現れた見事な蛇はオーロラの可能性がある。オーロラが揺れ動くのが、当時の人には見事な蛇に見えたのでは?歴史書を調べると、当時、オーロラが各地で観測された証拠がある。当時、太陽フレアの活動が活発だったのでは?やはり太陽フレア活動の説が有力。

その後の計測から、炭素14の急増する年代を発見。西暦992年~993年にかけての1年。ベリリウム10の濃度も増加している。775年の現象が、ガンマ線バーストによる、極めてまれな現象でないことがわかる。

キャリントン・フレアーの10倍ぐらいの太陽フレアなら、数百年に一度、起こると考えられる。大量の宇宙線を降らせた原因は何だったのか?…今もわからない。あくなき探求は続く。

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